2020年8月20日木曜日

2019-2020チャンピオンズリーズ 準々決勝 バルセロナvsバイエルン後の個人的総評

 余りの無惨な負けっぷりに既に各方面で報道されてるのでサッカーファン、バルサファンならずとも聞きかじったりしているかもしれません。


2-8

こんな屈辱的なスコアで負けることを一体だれが予想出来たというのだろうか・・・


こんな無様な姿を見せるに至った経過を個人的な思いだけで書き殴ってみます。(個人的な知識・思いだけで書くので事実との齟齬、時系列の間違いなど大量にありますのでご容赦出来る方だけ読んでください。つっても読む人なんていないんですけどね!!!)


①バルサイズムと言う幻影

バルサのサッカーと言えば「ティキ・タカ」に代表される細かなパス回しによりボールポゼッションを高く保ち相手ディフェンスのバランスを崩しゴールを狙うスタイルだ。
ペップ・グラウディオラが監督時代に確立したこのスタイルは一世風靡し、バルサでティキ・タカを体現していたシャビ、イニエスタを要するスペインがワールドカップで優勝するに至り、世界のあちこちでポゼッションを上げる戦術を取るチームが散見されるようになった。

最強を誇ったティキ・タカ。
それこそがバルサのサッカーと言う雰囲気が出来あがった。

シャビやイニエスタと言う稀代のパサー2人を擁したバルセロナにあってティキ・タカこそラ・マシア育ちの選手たちを活かすバルサの恰好のスタイルだったのも事実であった。
だが逆に言うとこの二人がいなければティキ・タカは体現することは出来ないのであった。

ペップが去った後、何人もの監督がティキ・タカと自身のスタイルの融合や新しいスタイルを試みたが一定の成果を残す監督が出て来ても「ポゼッションこそバルサのサッカーだ」と言うバルサイズムを崩すには至らなかった。

その結果、ティキ・タカを追い続け追いつけぬまま、ただただショートパスを回し不必要にポゼッションだけが高くなるサッカースタイルが生まれてしまった。

それだけならばまだいいのだが、バルサにはメッシがいる。
世界最高プレイヤーのメッシだ。
そこにスアレス、ネイマール(現PSG)、ジョルジ・アルバ、ダニ・アウベス、ラキティッチ等の名だたる名選手たちが絡むと一瞬の閃きを共有し信じがたいゴールを量産することが出来てしまうのだ。

バルサイズムと言う追いつけない幻影を追いながらもなんだかんだ勝ててしまう。
そんなバルセロナが出来てしまったのだ。

②メッシと言うクラック

リオネル・メッシ

まぎれもなく世界最高レベルのサッカー選手の1人だ。

「ワールドカップ優勝してない」
「ディフェンスしないお荷物だ」
「成長ホルモン注射と言うドーピング」

等と揶揄する声も上がっているけど、そんな揶揄も、揶揄したくなるほどの名選手であることの証明にしかならないほどの名選手だ。

メッシがバルセロナでデビューしその名を轟かせるのにそこまで時間を必要としなかった。
そしてメッシが10番を背負いバルセロナの中心となることも全く不思議ではなかった。

メッシが望むか望まないかに関わらず、バルセロナはメッシを中心としたチームである。
「メッシ依存」なんて言われ方もするが、メッシに依存した方がゴールの可能性が高くなる訳だし、ゴールを多く取った方が勝ちとなるスポーツである以上、ある程度の依存は仕方がないと思う。

だが勿論それは諸刃の刃である。
メッシが好調の時は勝利が増え、メッシが不調になるとチームの成績も不振となる。
そしてメッシが不在となると戦術がガラッと変わってしまう。

それでもシャビやイニエスタ、ネイマールがいる時はメッシ不在の穴を彼らが補ってくれることもあった。だが、今や彼らはいないのだ。
ネイマールがいる時なんかはメッシがいないとネイマールが獅子奮迅の活躍をしてくれたりと違う意味でファンを楽しませてくれたのだが、メッシが戻ってくると元の戦術に戻ってしまいネイマールの輝きは鈍ってしまうのだった。

世界最高の選手を輝きと、輝かすための労力。
そのバランスが遂に崩れたのが今シーズンのバルセロナだったのかもしれない。

メッシと言うクラック(crack)がバルサと言うチームにヒビ(crack)を作っているのだ。

③不要となったラ・マシア

バルセロナのカンテラ(育成組織)のこと。

このラ・マシア育ちの久保建英選手が移籍先としてバルセロナではなくレアル・マドリーを選んだのは記憶に新しいところ。

今のチームで言うと、メッシ、ピケ、ジョルジ・アルバ、ブスケツ、セルジ・ロベルト、アンス・ファティの6名である。
多いと見るか少ないと見るかは意見が分かれるところではあるが、かつては、メッシ、シャビ、イニエスタ、プジョル、セスク・ファブレガス、ペドロ、ビクトル・バルデス、ピケ、ジョルジ・アルバ、ブスケツとどのポジションにもラ・マシア育ちの選手がいる時代があったことを考えると、やはり少ないと見るしかない。

トップチームに名だたる選手が揃っているため、ラ・マシア上がりの選手が即レギュラーとなることは難しく、サブとして帯同し交代要員として何試合かチャンスを貰うだけである。
現在レギュラーとして活躍してるセルジ・ロベルトも何シーズンもサブとして帯同を続け、ようやくレギュラーを掴んだ。と言っても、ポジションは一定ではなくサイドバックであったり中盤であったりしている。

他の選手は数シーズン帯同を続けたのち、出場機会を求めレンタル移籍だったり、完全移籍で他のチームへ流れて行ってしまう。
今の所ローンバックで戻ってきて活躍してる選手って言うのは・・・記憶にない。

アンス・ファティはラ・マシアで久保選手とも一緒にプレーをしていた選手でトップチームでも途中交代で得点を決めたり、先発出場を果たしたりと期待のできる新人である。
だが現段階で彼は17歳。これから成長していく過程にある訳で、久保選手と同じように出場機会を求め移籍していく可能性は大きいと思われる。

となると結局、外部から即戦力となる選手を連れてくるしかない。
となると更にラ・マシアからの選手は出場しにくくなる・・・と言う悪循環。

バルサイズムを追いかける一方、バルサイズムを否定する補強を続ける。
バルサとは何なのか。
一度考え直さなければならないのかもしれない。

④歴史的大敗

そして本題。

今シーズンのバルサはコロナによる中断前も中断後も噛み合わないままだった。

グリーズマン、フレンキー・デ・ヨングを獲得。
監督もバルベルデからセティエンへ途中交代。
全てがリーガ、コパ・デル・レイ、チャンピオンズリーグの3冠のためだった。

だが結果は12年ぶりの無冠。

12年前と言うとライカールト監督時代末期で、遊びを覚えたロナウジーニョ、思うような評価を得られずに拗ねるデコ、ピザばかり食べていたメッシ、乗ってたエトーの怪我で無冠になった時代である(wikiより転載、一部改修)
まあその後、ペップが来て黄金期を作るので今回もそうなってくれるとありがたいのだが。

(ちなみにその黄金期を迎える時にバルサに戻ってきたピケが今回「自分も去らなければならない」と言う発言をしたのは非常にセンシティブでシニカルだな、と思った)

閑話休題

今シーズンは3冠を目指したチーム改革がことごとく噛み合わなかった。
グリーズマンは非常に偉大なクラックではあるがバルサではハマったとは言い難い。
デ・ヨングもフィットはしているが何か大きな違いを生み出す存在とはなり得ていない。
セティエンに至っては選手からの信用も得られず、これと言った戦術も打ち出せてはいない。

そしてレギュラー選手の高齢化。
今回のチャンピオンズリーグで平均年齢の上限を更新したらしい・・・。
選手生命が延びていると言うのはサッカーファンとしては喜ばしいことではあるが、常勝チームで考えるとチームの若返り化が進んでいないと言う評価をせざるを得ないのである。
それで勝てるなら問題がないのだが、屈辱的な大敗を喫してしまう状況では改革が必要と言わざるを得ない状況である。

今回の試合では特にメッシ、ブスケツ、セルジ・ロベルトが酷かった。
追いついた辺りまではそれでも何とか戦えていたが、点差が開くにつれ意地を見せる選手すらいなくなってしまった。
奮起させるキャプテンシーがないキャプテン。
ボールを落ち着かせることが出来ないピボーテ。
無駄に走り回るインテリオール。
バルサイズムを体現すべきラ・マシア育ちの3人がこの出来では勝てる訳がない。

もはやバルサイズムは無くなったと言ってもいいのかもしれない。

⑤バルセロナ改革

試合後にピケが語ったように新しい血が必要である。
新しい血を入れるためには、痛みが伴うのも必然である。

GK

今回の試合の出来は最低を言わざるを得ないテア・シュテーゲンだが世界屈指のGKであることは疑いの余地もない。
ドイツ代表としてノイアーを越えれないことが証明される格好になってしまったが、テア・シュテーゲンにはノイアーにはない若さと言う武器がまだある。
まだまだ成長の余地があるのだ。
最高峰からチームを鼓舞するキャプテンシー。それこそがテア・シュテーゲンに足りないスキルの一つなのだと思う。

今回、フィードのミスが目立ったが、どこに出してもバイエルンに取られるんじゃないかと言う恐怖心があったのだと思う。
それだけバイエルンのハイプレスが効果的だったし、味方選手たちが弱気になっていたのだと思う。

DF

ジェラール・ピケ

チームを去る覚悟も出来ていると語ってはいたが、まだまだ残って貰わなければならない。
フロント入りを考えているようだが、こんな弱いチームのフロントに入っても楽しくないだろう。
ピケの後任となるような安定感のある選手が出てくるまでまだまだ必要である。

ラングレ

ウムティティが怪我に泣いているここ数シーズンラングレの存在は非常に大きかった。
スピードでは負ける場面も散見されるがシーズンを重ねるごとに安定感が増してきている。
このままバルサに残って欲しい選手である。

ジョルジ・アルバ

世界最高のサイドバック・・・ではなくなってきたけれど、世界屈指のサイドバックなことは間違いない。
ただメッシとのホットラインもメッシ、アルバの衰えにより以前ほどの怖さを失ってきている。そろそろメッシ以外とのコンビネーションを上げて行かないと不要になってしまいそう。

ネルソン・セメード

なんか一部でボロクソ言われてるけど、言うほど悪くない。
1対1で完全に抜かれたから印象悪いだけ。
スピードもあるし、仕掛けられるし、パスのタイミングとかも良くなってきている。
試合が膠着するとメッシが下がってきて必然的にセメードが上がるスペースが制限されてしまって活躍も制限されちゃってる。
ジョルジ・アルバほどではないが世界有数のサイドバックにはなってきている。欲しがるチームが沢山あるけど絶対に出しちゃいけない選手の1人だ。

MF

セルヒオ・ブスケツ

父親もバルサの選手な生粋のバルサのプレイヤー。
キープ力、パス能力、危機察知能力、演技力とどれも一流。
バルセロナのピボーテの一つの理想形と言ってもいい選手だと思っている。
だが、もともとアジリティは低かったが、ここに来てワンテンポ以上遅くなっている印象は否めない。
シャビ、イニエスタがいた頃から、また抜けた後のバルセロナの中盤を支えてくれた功績は計り知れないが、そろそろ潮時なんだと思う。

フレンキー・デヨング

鳴り物入りでアヤックスから加入したがその鳴りも影を潜めてしまった。
バルサに素早く馴染むことには成功したが、必須な選手とまでは言い難い。
が、彼もまだ若い。
今のうちにラキティッチやブスケツの良いところを存分に吸収して、新しく生まれ変わるはずのバルセロナを支えて貰いたい。
どちらかと言うとインテリオールと言う印象が強いがバルセロナではピボーテとしての方がハマる気がする。

イヴァン・ラキティッチ

移籍マーケットが解放されると必ず名前が挙がってくるラキティッチ。
財政面を考えれば他チームが必要としている内に売ってしまいたいのだろうが、まだだ。まだ早い。ラキティッチはまだバルサに必要だ。
ラキティッチはラ・マシア育ちでもスペイン人でもない。そんな彼がバルサにフィットするためにはそれなりの苦労があったのは当然である。そんな苦労からか、ラキティッチが新戦力の選手にそっとコーチングする場面を見かけることが多い。
セメードなんかも加入当初ラキティッチにポジション指示をされてる場面を何度も見かけた。
バルセロナがラ・マシアを有効活用し切るまでまだ時間が必要であり、そうなれば外部から選手を持ってこざるを得ない。その時にラキティッチは有用となってくる。
勿論選手としてもまだまだ動けていて、ピボーテもインテリオールもこなしてくれるし、何よりもその献身的なランニングは新しく生まれ変わるバルサにとって必要不可欠となると俺は思っている。

ビダル

優勝請負人。ユーヴェ、バイエルンの黄金期で活躍した1人。
まさかバルサで苦汁を舐めることになるとは本人も思っていなかったと思う。
バルサが戦える中盤として獲得したパウリーニョが移籍した後、似たタイプの選手と言うか上位互換としてバルサに移籍してきた。
まだまだ活躍出来ると思うし、バルサにいてくれたらありがたい存在ではあるし、文句の付け所はないのだが、必須な選手ではない。
ただ今後バルサが生まれ変わるにあたり懐古主義を取るのか、全くの新しいチームになるのかで彼の扱いが変わってくる。新しいチームを作る時には彼の存在は更に必要度が高くなってくると思う。

FW

ルイス・スアレス

噛みつき事件の印象が強すぎて正当な評価をイマイチ受けれてない印象のスアレス。
だがストライカーと言う意味においては世界屈指の選手であることに疑いの余地はない。
個人的にはリバプールにいた時がピークだったかな?とは思っているが今でもゴールへの嗅覚は半端ないし、それを実現させるシュートセンスもドエライものがある。
ゴールハンターなので免除されていることが多いも事実。
相手ゴール前ではチェイスをしてくれるが、ディフェンス時にタスクを負っていない状況である。
年齢、年俸等を考慮すると・・・放出時期が来たのかもしれない・・・
MSNのワクワク感、俺は忘れないよ!!!!

アントワーヌ・グリーズマン

ライバルチームの一つであるA・マドリーのエースを引き抜くという禁断の移籍。
なんでも本人がメッシと一緒にプレーしたかったとのこと。
その割にはフィットし切れず、一定の数字は残しているものの大活躍と呼べるものではない印象である。
スアレスと同じく年齢、年俸を考えると加入1年目にして放出候補に挙がってしまうのは仕方がないと思う。

リオネル・メッシ

神の子。DIOS。世界最高の選手。
彼の呼び名には枚挙に暇がないし、そのどれもに相応しい選手である。
先述したが今のバルセロナはメッシを中心としたチームである。
移籍か・・・なんて報道もあるがそれはない。
違うチーム、違うリーグでメッシが通用するか見てみたいというサッカーファンとしての夢が無い訳ではない。
メッシはあらゆる面で特別なのだ。
メッシにもバルセロナでワンクラブマンになって貰いたい。
そしてシャビを監督として迎えた1stシーズンでリーグ、CL制覇して引退を・・・
なんて更なる夢を抱いちゃってます。
プレイ面では若い頃のような切り裂くドリブルはありませんが、瞬間的に見せる突破やゴールなどはまだまだ彼がトッププレイヤーだという事を私たちに教えてくれています。
もう一度メッシがビッグイヤーを掲げているところが見たい!

⑥結語

バルサがバルサらしく強いチームになってくれることを信じています。
ティキ・タカでも何でも構わない、圧倒的な強さを見せて対戦が決まっただけで相手チームがビビるようなそんなバルセロナになって欲しい。
うっかり先制ゴールを許したら次のキックオフ直後に1点を取り返してしまう、そんなバルセロナに戻って貰いたい。いや、それ以上の進化したバルセロナが見たい。

CL敗戦後この記事にかかった間にメディアでも色々言われているし、監督が決まったり何だったりしている。言いたいこともあるけれど、言ったところで何も変わらない。だったら強いチームになると信じて開幕を楽しみに待っていることにします。

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